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(てんじんちぎのもり)絵を描くにあたり題材となった風景、気になった風景などを紹介していきます。

鳥居の種類

 日本各地どこでも見かける鳥居ですが、その形は様々です。鳥居の種類は大きく別けて2つ、神明系と明神系に分類されます。
神明系は、柱・横木共に直線的で、より原始的と言えます。
それに対し、仏教の影響を受けている明神系は、島木の上に笠木があり、両端が反り上がった曲線的な形をしています。神明系に比べ装飾も凝ったものが多いようです。(各部の名称は図をクリック↓)


神明系には主に
●神明(しんめい)鳥居
●素木(しらき)鳥居(又は黒木鳥居)
●靖国(やすくに)鳥居
●鹿島(かしま)鳥居
等があります。

明神系では
●明神(みょうじん)鳥居
●稲荷(いなり)鳥居(又は台輪鳥居)
●両部(りょうぶ)鳥居
●山王(さんのう)鳥居
等があります。

材料は木製・石製・銅製・コンクリート製、最近ではステンレスやビニ管でできた物まであるようです。

昔は石でできた明神系の鳥居、明神鳥居・台輪鳥居等が一番好きでした。朱塗りではないグレイなものです。落ち着くと言うか、何となく馴染み深かったのです。造形的にも、石の重みと両端の反り具合、神額のアクセントがとても魅力的に感じました。そんな訳で、20代前半に一枚の絵を描きました。名古屋市中村区豊国神社の摂社、八幡社の鳥居です。

春の日差しの中でこの位置に立って鳥居を眺めた時、無性に「描きたい!」と思ったのです。後日写真に収め、部屋にこもって黙々と描きました。2ヶ月位かかったと思います。僕にとって初めてと言える作品であり、思い入れはひときわ強いものがあります。

神明鳥居が嫌いと言う訳ではありませんが、気高さと言うか、何となく近寄りにくいな…と感じていました。特に意識していた訳ではありませんが、漠然とそう感じていました。神額がかかっていない(文字が無い)事と装飾らしい装飾が無い事で人の意思が汲み取れず、いかにも“神域”と感じたからかも知れません。ただ単に身近に無かったからかも知れませんが…。神明鳥居なら全てそう感じるのか、と言われるとそれも分かりません。
後に神明社の鳥居も描いているのですが、何となくその時の心境が現れています。現地でも、結局鳥居の奥の階段は上っていません。何となく怖かったんです。

今は、いかにも仏教が入る以前の古代日本を感じさせる、あの直線的でシンプルなデザインが、とても魅力的に想えます。近寄りにくさ、気高さを感じるのは、今も変わりませんが…。

神明系・明神系。どちらと言わず鳥居をテーマに今後も絵を描いていきたいと思います。
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