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(てんじんちぎのもり)絵を描くにあたり題材となった風景、気になった風景などを紹介していきます。

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-3.7℃ 雪の小樽運河にて

 2年前の3月、祖母の葬儀で小樽を訪れました。
僕は小樽出身ですが、幼少の頃愛知県に引っ越しているため、数年に一度しか北海道に戻る事はありません。特に成人してからは仕事の都合、金銭的都合もあり、足が遠退いています。それでも(だから?)北海道に行く度懐かしく、様々な想いがよみがえり、胸がいっぱいになります。

この時は3月も半ばに差しかかる頃でしたが、小樽は大雪でした。運河沿いの温度計は夕方5時40分過ぎで-3.7℃。凍てつく小樽運河に魅せられて、僕は思わず写真を撮りました。とても月並みな風景です。僕が描いた場所は一番有名なポイントかも知れません。でも僕自身はこの風景を知りませんでした。運河沿いを歩いたのも初めてだと思います。少なくとも記憶にはありません。


祖母の葬儀が無ければ、この雪の中、この場所を歩く事も無かったでしょう。この絵を描く事も無かったと思います。生きているうちに孝行してあげられなかった。ごめんね、お婆ちゃん。小樽の祖父、祖母、共に亡くなってしまった。
翌日、札幌に住む母方の親戚の家を訪ねました。母方は祖母が健在ですが、その祖母も、僕の顔を見ても名前が出てこなかった。誰だろう…と不思議そうに僕の事を見つめていました。
僕はその帰り道、千歳空港に向かう電車の中で一人泣きました。僕は何という事をしてしまったのだろう。なぜ、もっと前に気付けなかったのだろう。小さい頃の思い出が蘇り、自問自答しました。

何か恩返しをしてきたか?

自分勝手に遊び歩いて我がまま放題に生きてきました。もちろん、苦しい思いもしたし努力もしました。でも、感謝の想いが足りなかった。自分ひとりの力で生きてきたんじゃないのにね。泣いても失われた時間が戻らない事をこの時ほど痛感した事はありません。

今も、僕はたくさんの人に支えられて生きています。喧嘩もするし腹が立つ事もあるけれど、人と関わっていられる事が今では本当にうれしい。
恥ずかしながら30過ぎてやっと気付きました。祖母のおかげです。
これからも、感謝の想いを胸に生きていきます。

この絵にも少しは心情が表れているかな…。-3.7℃でも、この時の雪はとても温かかった。

亡き祖父母、支えて下さった皆様に捧げます。
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